労働者協同組合つどい(令和5年4月設立)

働きたくても働き場のない人達が共に働ける、年齢や性別や障がいの有無に関係なく様々な人が共に働く、地域の働き場になろう

2006年11月、各々が主体となる自分達の働き方を大切にし、自立した事業体として社会に貢献していきたいという、意思のある人々が集まり、「企業組合ワーカーズ・コレクティブつどい」を設立。2023年4月に「労働者協同組合つどい」に組織変更しました。帳合、受注、電話注文、清掃、保育園、たまごのパッケージ詰め、2つの地域での家事支援等のたすけあい事業からなる8つの部門の事業を行っています。

これまでの活動の経緯

企業組合ワーカーズ・コレクティブつどいの誕生

生活クラブ生協より、埼玉県飯能市へのデリバリーセンター移転に伴い、一部の業務を担う新しいワーカーズ・コレクティブ(働く人全員が出資し、経営に責任を持ち、労働も担う協同組合)を作って欲しいという働きかけが、同センターの配送業務を担っていたワーカーズ・コレクティブにありました。そこで2006年3月、生活クラブ生協と既存のワーカーズ・コレクティブで「ワーカーズ作りプロジェクト」を発足しました。
新しい団体を設立しても、法人格を持たずに事業を行うと、負債や借入の責任を個人が無限責任で負うこととなり、大きなリスクを抱えてしまいます。そのため、当時私たちが望む法人格がなかった中で、出資して皆で運営して働けるというワーカーズ・コレクティブの働き方に一番近い「企業組合」の法人格を選択しました。
その理由は、「相互扶助の精神に基づき協同して事業を行い、もって組合員の経済的地位の向上を図ることを目的とする」とした企業組合の目的は我々の想いとはそぐわないものでしたが、「出資して皆で運営して働ける」というワーカーズ・コレクティブの働き方に一番近いと思われたからです。
こうして、2006年11月、創立総会を開催(組合員62名)、企業組合の認可を取得し、「企業組合ワーカーズ・コレクティブつどい」として生活クラブ連合会と受託契約(カタログ丁合、OCR申込書の読取・修正業務)を締結しました。

企業組合と 8 つのワーカーズ・コレクティブ

2015年、生活クラブ連合会からの受託業務の増加を機に、企業組合ワーカーズ・コレクティブつどいから「企業組合つどい」と法人名を変更しました。
一法人の中に、生活クラブ連合会からの受託事業を行う4つの部門(帳合、受注、電話注文、清掃)と、地域での家事支援や見守りなどのサポート(たすけあい)を行う自主事業の2つの部門をワーカーズ・コレクティブとして設置しました。
2016年9月より飯能デリバリーセンター事業所内の保育所運営業務を受託し、「ワーカーズ・コレクティブにこにこ」を設置。そして2022年8月より稼働した「株式会社生活クラブたまご」の洗卵およびパック詰めライン業務を受託し、新規事業として「ワーカーズ・コレクティブたまご」を設置しました。

ワーカーズ・コレクティブ帳合

青森県から愛知県までの生活クラブ生協組合員に配るカタログを自動丁合ラインでセットしています。
月曜日から土曜日(木曜日除く)1日9:30~16:30約20名体制で、20代から70代の男女が従事しています。

ワーカーズ・コレクティブ受注

関東7県の生活クラブ生協組合員から提出されるOCR申し込み用紙の読取業務と読取エラー修正などを行います。
火曜日から土曜日、午前8:30~11:30約14名体制で、20代から70代の女性を中心に従事しています。

ワーカーズ・コレクティブ・ベル

生活クラブ生協組合員からの電話注文の受付や、インターネット注文操作方法の相談に対応しています。
月曜日から土曜日、現在はコロナ感染症対策としてオペレーターの人数を減らし9:00~20:00までのシフト体制1日約41名で30代から70代の女性を中心に従事しています。

ワーカーズ・コレクティブぴかりん

飯能デリバリーセンター内外の清掃や配送コンテナの洗浄、再生利用する牛乳キャップの異物選別を行っています。
月曜日から金曜日、1日9:30~16:30約3~5名で構内・構外業務に分かれ30代から70代の男女で従事しています。

ワーカーズ・コレクティブにこにこ

生活クラブ飯能デリバリーセンターで働く人の子どもたちを預かる「生活クラブ太陽すくすく保育園」を運営しています。月曜日から土曜日まで、現在は新型コロナウィルス感染症対策として保育園定員を19名から10名へと縮小して8:00~19:00までのシフト体制で、預かる子どもの人数に応じて有資格者を含む2名以上で従事しています。

ワーカーズ・コレクティブたまご

生活クラブ飯能第2デリバリーセンター内に併設される「生活クラブたまご飯能GPセンター」の運営すべてを受託しています。パックのケース詰め等は、働きづらさを抱えた方と一緒に作業しています。
月曜日から日曜日(金曜日除く)1日9:30~17:30の9名体制で、30代から70代の男女が従事しています。

ワーカーズ・コレクティブえがお

飯能市、日高市をサポート提供地域として、家事支援や見守り等の「たすけあい」の輪を広げています。
現在は新型コロナウィルス感染症対策として密を避けながら、9名で従事しています。

ワーカーズ・コレクティブ結ま~る

入間市、狭山市をサポート提供地域として、家事支援や見守り等の「たすけあい」の輪を広げています。現在は新型コロナウィルス感染症対策として密を避けながら、9名で従事しています。

私たちの働き方は、出資と経営と労働が一体となった協同労働という働き方です。私たちの働き方にあった法人格を定めた法律ができることを見据えて、これまで労働環境を整えてきました。
2022年、今まで私たちが求めてきた「労働者協同組合法」の施行を受け、企業組合からの組織変更に向けて準備を進めました。そして2023年2月、組織変更の議決総会において満場一致で可決し、同年4月に「労働者協同組合つどい」に組織変更しました。

活動に当たり大事にしていること(意見反映の方法等)

多様な方が共に働ける職場

受託事業を通して、「働きたくても働き場のない人達が共に働ける、年齢や性別や障害の有無に関係なく様々な人が共に働く、地域の働き場」を目指しています。
現在、知的障害や精神障害のある方、子育て中で午前のみ働きたい方、子育てがひと段落した方、引きこもりだった方、60 歳を過ぎてもまだまだ働きたい方など多様な仲間が集まり、自分に合った職種・勤務時間のワーカーズ・コレクティブ(以下、ワーカーズという。)で働いています。
活動に当たっては、各業務・事業に関することを組合員各自がより身近に感じられるよう、それぞれの事業で組合員全員が意見を出し合える場を持ち、運営会議を決定機関として課題の整理や解決に向けて話し合いを行いながら運営しています。
会計・税務・労務(事務局)、つどい内外の広報活動(広報委員会)、安全衛生(組合員・衛生管理者・産業医で構成)、相談窓口(ハラスメント対策委員会)、研修(運営研修委員会)など8つのワーカーズで共通する部分はつどいで実施します。
各ワーカーズから選出された理事で構成される理事会では、各ワーカーズへの事業・予算の決済範囲の割り振り、ワーカーズ間の調整など、つどいという法人全体の組織運営を行います。

組合員同士で学び合う研修

つどいでは、働く全員を対象とした研修に力を入れています。雇用時には一般的な労働とは違うワーカーズの働き方や、つどいの設立趣意(設立時の思い、多様な人が共に働く職場)、つどいの組織を理解する機会を設けています。つどいの組合員になった後は、働いている人が皆で話し合って、課題解決等に向けて、決定している民主的な合意形成の進め方を理解し組合員の一員である自覚を持ちながら活動しています。
組合員の一員である自覚を持てた後、ステップアップとして状況に応じたテーマを設け、ワークショップ研修を行っています。今年度は「様々な世代が共に働きやすい職場」をテーマにMM法(みんなでつくるミーティング法)も用いた会議運営について学びました。受講した研修の知識を高めるため、研修講師は組合員が交代で行うこととしており、講師を担うため自主的な勉強会も行っています。また、つどいの経営状況を把握し、分析・対策を提案する組織マネジメント研修など管理者を育てる研修もあります。

事業が困難になっても、見捨てない

これまで、つどい内のワーカーズの間で、賃金などに大きな差が出ないように、職種によって手当を付けるなどバランスを考えて予算を立ててきましたが、コロナの影響により赤字黒字が分かれ、職種間の事業バランスが大きく崩れてしまいました。決算予測に対し各ワーカーズからの要望を理事会で検討し、好調のワーカーズから見れば不満はありましたが、最終的には手当込みにした全体の時間単価を算出し、全員で分配しました。

今後の方向性

つどいの今後に向けて

2023年4月1日、私たちは念願であった「労働者協同組合つどい」に組織変更しました。
現在の受託事業の安定と、つどいの設立趣意に沿って、世代に関わらず、またハンディがあっても誰もが共に働き得意分野を生かせる職場の両立を目指していきます。
そして持続可能なつどいにしていくため、つどいで働く皆が、個人や各ワーカーズの事情だけでなく、つどい全体を見据えて、次世代を担う人材育成を図り、お互いにたすけあう職場づくりや地域社会の人々がいつまでも住み続けられるまちづくりの実現に向けて、力を合わせていきたいと思います。

  • 2023年5月 労働者協同組合つどい第1回通常総会をおえて

基本情報

法人名  労働者協同組合つどい
事業所の所在地  埼玉県飯能市下川崎東原34
設立  2006年11月30日に企業組合法人格取得、2023年4月に労働者協同組合法人に組織変更
事業内容  生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の行う申込情報セット及び受注業務、eくらぶインターネット注文の相談窓口業務、構内外整備業務及び事業所内保育所運営業務の請負、株式会社生活クラブたまごの行うたまごGPセンター運営管理業務、卵自動販売機の管理業務の請負、生活クラブ生活協同組合の行う会員ケア家事支援等生活サポートの請負、家事支援などの生活サポートの自主事業
組合員数  134名
組合員の年代別構成  20代~70代
組合員以外の就労者  20名
売上高  約1億7000万円(2022年度実績)
出資1口の金額  1,000円
出資の総口数  21,854口

(令和5年6月1日現在)