労働者協同組合わーい(令和5年6月設立)

市民力を高める労働者協同組合という新しい働き方を広げて、自分も地域コミュニティも“GOOD”にしたい。

労働者協同組合わーいは、兵庫県神戸市で生活協同組合連合会(以下、生協)の広報物に関わる制作や編集の事業を行っています。自然と共存するくらしを目指す「コープ自然派」という生協の事業の一部を受託し、組合員視点で伝える、組合員の力を活かす広報を目指しています。

これまでの活動の経緯

より能動的に、自分たちの「やりたい」を仕事に

労働者協同組合わーいは、「コープ自然派」という生協を母体に生まれました。生協は、自分が欲しい商品や暮らしを自分たちでつくる組織です。食卓から社会を考え、行動する消費者を育ててきました。これからの生協の持続可能性を考える中で、従来の生協の組合員活動の在り方だけでなく、なにか新しい関わり方が必要だと感じていました。

そんなタイミングで労働者協同組合法が制定され、お金を出し合い、運営をみんなで議論して、一緒に働く労働者協同組合、これこそがより能動的に自分たちの「やりたい」を仕事にできる方法ではないかと感じ、労働者協同組合わーい(以下、わーい)を設立しました。

コープ自然派は、誰もが有機農産物を食べられる社会をめざして、有機農業推進、脱原発、遺伝子組み換え食品・ゲノム編集食品反対、アニマルウェルフェア、農福連携などに取り組んでいます。食と農と環境は一体だという考え方のもと、「いのち」を真ん中に置いた共生する社会、協同組合型経済を目指しています。

しかし、コープ自然派にはそれらの取り組みの発信力・広報力が弱いという課題が以前からありました。コープ自然派の組合員が熱意をもって取り組んでいる取り組みは、組合員自ら発信したほうが伝わるのではないかという経営判断と、わーいの「やりたい」がマッチした結果、この課題に取り組むため、わーいで広報物の制作および編集を受託し、組合員視点で伝え、組合員の力を活かす広報を目指すことになりました。

わーいのメンバーは理事3名、監事1名ですが、全員がコープ自然派の組合員です。現在は「Table」(タブル)*という月刊広報誌の制作を受託しています。
*「Table」とはフランス語で食卓を意味します。

  • 「Table」リニューアル号の表紙

活動に当たり大事にしていること(意見反映の方法等)

弱音が吐ける関係を、無理せず楽しく

わーいは理事3名と監事1名のミニマムサイズで立ち上げました。これまでも会議や活動で顔を合わせていた気心の知れたメンバーで立ち上げたため、意思の疎通はスムーズにできていると思います。それでも、新しい仕事を始めるにあたり不安やうまくいかないことはいろいろと出てきます。

そのため、お互いの思いを確認するためにも話し合う機会を大切にしています。会議は主にオンラインで行っていますが、必要に応じて集まる機会を設けたり、オンラインで開催する場合でもそれぞれの忙しさや不安なども共有して、負担が一部の人に偏らないように心がけています。それぞれが安心して弱音を吐ける関係を築き、無理せず楽しく続けていきたいと思っています。

仕事は、取材執筆、デザイン、撮影、校正、会計など担当制で行っています。それぞれの得意分野を活かし、かつ最低賃金以上の賃金水準をキープできるよう仕事の割り振りをしています。これからメンバーのスキルアップ研修を実施することや、メンバーを増やしていくことで、できる仕事を増やしていくことが課題です。

また、コープ自然派の加盟生協(関西・四国エリア)においても、わーい同様に複数の労働者協同組合を立ち上げています。現在、兵庫県神戸市で「ワーカーズコープTree」、奈良県田原本町で「百企画」という2つの労働者協同組合が設立済です。労働者協同組合同士で連携して取材やデザインを担うことで、より多くの広報物の制作やWEBサイトの記事作成を行うなど、仕事の幅を広げていきたいと考えています。

  • リニューアルされた「Table」に掲載された「わーい」のメンバー

活動に当たり生じた困難や課題、それに対する対応

想いをカタチに、持続可能な運営を

設立前に不安だったのは、新しい組織形態である労働者協同組合としてスムーズに設立できるのかということと、赤字にならずに運営できるのかということでした。

しかし、設立に関しては、兵庫県の労働者協同組合担当部局の担当者や伴走支援を行って頂いた日本労働者協同組合連合会の方がいろいろと親切に教えてくださり、またコープ自然派の協力もあり、スムーズに設立することができました。定款なども生協のものと似ていたこともあり、普段から考えていることや話し合っていることを明文化するだけだったため楽に感じました。
ただし、労働者協同組合法は新しくできた法律のため、法務局にも前例がほとんどなかったり、様式例なども分かりにくい部分があったりと苦労した点もありました。

設立後の運営に関しては、取材先や掲載内容を工夫することで想定よりも支出を抑えることができたため、その分を外部デザイナーの支払いに充てるなど、より良い紙面のためにお金をかけることができており、嬉しく思っています。これから決算を迎えるにあたり、税金の支払いや事業・決算報告などまだまだ初めての経験が続きます。引き続き、慎重に運営を進めていきたいと思います。

今後の方向性

\わーい わーい/と喜びながら働きたい

わーいの名前は、自分たちが「わーい」と喜びながら働き、それをお客さまが「わーい」と喜んで受け取ってくれて、その結果、地域社会が「わーい」と笑顔になるような仕事をしたいと思ってつけました。

労働者協同組合は、仕事場であり、運動体であり、教育機関だと考えています。広報というツールを使って、同じ方向を見つめて行動する人の輪をひろげていきたいと思っています。

また、現在の仕事を軌道に乗せつつ、自分たちが望む暮らしを自分たちで実現するために、生協から受託する仕事の幅を広げて事業の拡大や生協の活性化を目指しています。

「協同」「連帯」の時代、市民が協同してやりたいことを仕事にして地域のニーズを解決する労働者協同組合という新しい働き方、地域の暮らしの中にある「あったらいいな」を労働者協同組合で仕事にしていくことで、「地域協同・地域貢献」に寄与して持続可能な地域社会を目指していきたいと思っています。

  • 打合せの様子

基本情報

法人名  労働者協同組合わーい
事業所の所在地  兵庫県神戸市西区見津が丘3丁目8番5
設立  2023年6月
事業内容  広報物に関わる制作および編集
組合員数  3人
組合員の年代別構成  40代~60代
組合員以外の就労者  0人
売上高  400万円(年間見込額)
出資1口の金額  1万円
出資の総口数  9口

(令和5年11月末現在)