信頼し合えるメンバーと信頼される事業所を地域に作る

いつまでも健康で、住み慣れたまちで自分らしく安心して暮したいとの思いから、2006年に北海道札幌市南区で訪問介護事業と障害福祉サービスの居宅介護、移動支援(単独では外出困難な障害者(児)が社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動や社会参加のための外出をする際の移動の介助)を行う事業所を立ち上げました。

メンバー全員で運営を話し合い、決定

事業所の立ち上げは、「障害のある子どもたちの放課後のサポートや移動支援をやりたい!」という一人のメンバーの声に賛同した10名の主婦で設立しました。立ち上げと同時に訪問介護事業所の指定申請も行いました。メンバーの資格はヘルパー2級(当時)です。資格のないメンバーは次々と資格(ヘルパー2級)を取りに行きながらのスタートでした。
運営も事業も何もかもが初めてでみんなで試行錯誤の毎日でしたが、自主運営という協同組合のスタイルで、事業所の運営をみんなで話し合って決めていく事に楽しさとやりがいを感じていました。
18年たった現在も5月の総会で年間の活動計画を決めて、毎月の例会やケア担当者会議などで、あらゆることを確認・決定しながら事業を実施していきます。運営や事業・会計のこと、仕事の分担、剰余金の分配など全て話し合いで決定しています。

それぞれの生活を尊重しながら働く

ワークライフバランス重視の職場です。まだ子どもが就学前や小学生のメンバーも、親の介護をしながら働き続けたいメンバーも、体調が思わしくない時も気兼ねなく、休みの希望を出すことができます。それは、私たちにとっては当たり前の「お互い様の働き方」です。今年の春に60歳で定年退職された男性が、「これからは、地域の役に立つことをしたい」と入会を希望されました。1か月のお試し就労期間を設けて、働くことや働き方にお互い納得したうえで、メンバーになりました。新しいメンバーの加入は、働く視点や発想、考え方の幅も広がるので楽しみです。

信頼される事業所になるために

メンバーは、毎年研修を重ねて、介護福祉士の資格を取得し(現在7名/10名中)訪問介護にあたっています。ケアはチーム制で行います。常にサービス提供責任者を中心に担当者同士で連携を取りながら、小さな事業所の良さであるきめ細かいケアを行っています。
地域に開かれた事業所にしたいというメンバーの提案で「地域サロン」を開くことになりました (現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止しています)。サロンの内容は、季節ごとのイベントや「みんなで歌おう」、「つまみ細工」、「包丁砥ぎ」、「ダブルケア学習会」、「今どきの葬儀」等々、メンバーで担当を決めて交代で行っています。地域の方と顔見知りになることで、気軽に介護やケアの相談に来ていただきたいと考えています。

労働者協同組合への移行に向けて

私たちは、地域で必要な「もの」や「サービス」を市民事業として事業化し、自分たちで出資、経営、労働を担うという働き方をしてきました。2022年10月に私たちの働き方に一番適した法人格が得られる「労働者協同組合法」が施行されます。この法律が施行されてから3年間は組織変更の特例措置が設けられています。現在NPO法人として事業を行っていますが、より自分たちの働き方にあった「労働者協同組合」への移行をこの期間中に検討して行きます。