「“よい仕事おこし”フェア」を通じた地域との新たなつながりの創出(城南信用金庫)

令和4年12月、全国各地からコロナ禍で大きな影響を受けたものづくり、食品、観光・連携、に関する447の団体や中小企業が集結したイベント「“よい仕事おこし”フェア」が開催され、2日間で約2万5千人もの方々が来場しました。そこでは、地域や業種を超えた新たなつながりを作ろうと、会場のいたるところで商談を行う姿が見られ、盛況のうちに終了しました。

  • 2022“よい仕事おこし”フェアの様子

このイベントは、東日本大震災で被災した東北地方の復興と地方創生を掲げて2012年に始まりました。そのきっかけは、現在「よい仕事おこしフェア実行委員会」の事務局を担う城南信用金庫が、東日本大震災や原発事故の後に被災地で様々な支援を行う中で、被災した地域が復興・発展するためには全国的な連帯、支援する取組が必要であると気づいたことです。

そこから東北の名産物を首都圏で販売したり、東北と首都圏の企業をマッチングするためのイベントを開催しようというアイディアが生まれ、他の多くの信用金庫の理解を得て、「被災地支援」「地域連携」「地方創生」をテーマに、翌年2012年の「“よい仕事おこし”フェア」開催につながりました。

  • 被災地支援の様子

信用金庫は、労働者協同組合と同様、協同組合の一つで、地域社会の健全な発展に奉仕することを目的とする非営利の金融機関です。

「“よい仕事おこし”フェア」という名前について、城南信用金庫の吉原毅名誉顧問は、「被災地支援に汗を流す労働者協同組合の姿を見て、働く人々が誇りと主体性をもって、社会貢献をめざす労働協同組合こそ協同組合運動の原点であると考え、そのスローガンである「よい仕事」に強く共感して、日本労働者協同組合連合会の当時の代表に特別に許可を得て命名した」とお話をしてくださいました。

“よい仕事おこし”フェアでは、日本労働者協同組合連合会も一つブースを設け、労働者協同組合法の周知を行うほか、被災地などの現場事業所で製造している手工芸品などの展示販売を行っています。同フェアに出店している全国の信用金庫や中小企業との連携・協力を通じて、同連合会に加盟するワーカーズコープ・センター事業団の組合員は福島県浪江町のお米を使ったポン菓子や同県飯館村のかぼちゃを使ったドレッシングなどを商品化するなど、信用金庫のネットワークとの連携を広げています。

  • 福島県浪江町のお米を使ったポン菓子

バイオディーゼル製造販売団体との
廃食油回収協力を通じた連携

城南信用金庫と労働者協同組合の連携例として、東京都大田区で廃食油の回収を通じてバイオディーゼル燃料を製造する団体、ワーカーズコープあぐりーんTOKYOとの連携があります。あぐりーんTOKYOでは、家庭や飲食店等で調理の際に出る使用済みてんぷら油を回収して、バイオディーゼル燃料を製造し、この燃料を通じて、野生動物の移動手術室のバスや青梅市リサイクルセンターの重機、ゼロエミッションビルの自家発電用燃料、保育園の遠足に使用するバスの燃料などに活用しています。

  • 使用済みてんぷら油からできるバイオディーゼルを利用した自動車

城南信用金庫では、この団体の活動趣旨に賛同し、店舗のロビーにおいて家庭からの廃食油の回収に協力するほか、取引先企業の紹介を通じて、廃食油の回収先の開拓にも協力しています。

また、あぐりーんTOKYOとの協議により廃食油の売買代金は、城南信用金庫を通じて東日本大震災支援に寄付をしています。

  • 城南信用金庫の店舗ロビーにある回収BOX

労働者協同組合との連携を通じた
持続可能な地域づくり

城南信用金庫が運営事務局を務める「よい仕事おこしフェア実行員会」は、令和2年7月、労働者協同組合法の令和4年10月の施行を前にして、日本労働者協同組合連合会と持続可能な地域づくりのために連携・協力をしようと、包括的連携に関する協定を締結しました。

今後、地域で様々な分野の労働者協同組合が設立されていく中、持続可能な地域づくりのために、同じ使命を持つ協同組合の仲間として、幅広い連携を進めていくこととしています。

 私たち信用金庫は、相互扶助の理念に基づいた、協同組織の金融機関です。地域社会の発展・繁栄のためにつくられた「公共的使命を持つ金融機関」として、店頭では明るい笑顔でお客様をお迎えし、外回りでは担当者がお客様のもとへ元気にお伺いする、地域に密着し、信用・信頼を大切にした活動を行っています。
 労働者協同組合は、若い方や障がいをお持ちの方、高齢の方など、皆さんが誇りと主体性をもって働かれており、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を実践しているとても重要な存在であると考えています。
 これからも労働者協同組合の皆さまをはじめ、全国の志を共にする仲間達との「信頼の絆」をより強固に結びながら、地域を明るく元気にする活動に全力で取り組んでまいりたいと思います。

城南信用金庫 理事長 川本恭治