エシカルな暮らしを楽しむための発信・販売・交流の場(多摩信用金庫)

JR八王子駅から徒歩10分、まちなか居住が進む甲州街道沿いに、まちの駅八王子CHITOSEYAがあります。
地元でとれた新鮮な八王子野菜や地卵、加工品が並ぶマルシェが開催され、木の香りが漂う空間で地元の素材を使ったランチやカフェが楽しめます。
「自然環境や身体にやさしい」「ゴミをできるだけ出さない」「誰かの応援につながる」といった、人や社会、環境や地域に配慮したライフスタイルに共感した老若男女に親しまれている施設です。
まちの駅八王子 CHITOSEYAは、八王子市と多摩信用金庫、ワーカーズコープの3者が連携して、2022年6月にオープンしました。
テーマは「エシカルな暮らしを楽しむための発信・販売・交流の場」。
八王子市と多摩信用金庫、ワーカーズコープの3者での運営協定の下、それぞれの得意分野を活かしながら、SDGsを通じて地域を元気にし、好循環を生み出す拠点づくりを目指しています。

  • まちの駅八王子 CHITOSEYA外観

信用金庫は地域と運命共同体

まちの駅八王子 CHITOSEYAの大きな特色の一つは、多摩信用金庫から無償で場所の提供を受けて事業を行なっていることです。きっかけは、2016年7月に多摩信用金庫が八王子市役所と「地域活性化に関する包括連携協定」を結んだことにあります。
多摩信用金庫は、多摩地域で生まれた信用金庫として、多摩で活動する企業・事業者、多摩で暮らし働く個人、多摩の地域社会全体を金融サービスはもちろん経済・文化・生活など、あらゆる角度から総合的かつ積極的にサポートしています。
こうした日々の活動の中で、マンションが林立し、若い世代が増え始めたことから、世代間での交流とまちのにぎわいを加速化させたいという想いのもと、2017年5月、多摩信用金庫は同金庫八王子中央支店1階の店舗の一部を無償で八王子市役所に提供し、八王子市において「まちなか交流・活動拠点」として活用することになりました。
こうした取組の背景として、多摩信用金庫の岡本主任調査役からは「信用金庫は地域と運命共同体だ」とお話しいただきました。

  • 多摩信用金庫八王子中央支店とならぶまちの駅八王子 CHITOSEYA

地域に明るい信用金庫としてSDGsに取り組む事業者とコーディネート

まちの駅八王子CHITOSEYAの特色の一つが、多彩なパートナーとの連携です。八王子の魅力や資源を活かし「自分にとっていいことが未来にとっていい」SDGsなライフスタイルを目指し、SDGsに取り組むパートナーと日々連携を図っています。
多摩信用金庫では、こうしたコンセプトをワーカーズコープと共に考え、地域に明るい金融機関として、SDGsに取り組む事業者をまちの駅八王子 CHITOSEYAの新たなパートナー候補としてコーディネートしています。

多摩信用金庫がコーディネートした例として、八王子でニットを製造している「佐藤ニット」が挙げられます。「佐藤ニット」では、セーターを作る時などに必ず出る残糸を集めて、新しい製品に作り替える「つかいきる課」という部門を発足されています。人の役に立つことなく廃棄されてしまう糸を少しでも減らす工夫をされている「佐藤ニット」の取組は、まちの駅八王子 CHITOSEYAのコンセプトにピッタリです。

  • 佐藤ニットの商品

まちの駅八王子 CHITOSEYAを運営するワーカーズコープの責任者を務める扶蘓(ふそ)さんは、こうした多摩信用金庫のコーディネートについて、「八王子は江戸時代から織物のまちとして栄え、家族で営む繊維関連の工場も多くあります。多摩信用金庫さんのご紹介で、地元の事業者さんと顔の見える関係を作ることができ、直売価格で魅了的な商品を販売できています。」とお話しいただきました。

入口で地元野菜と地卵が迎える、地域のマルシェ

まちの駅八王子 CHITOSEYAに入ってすぐ目に飛び込むのが、新鮮な地元野菜たち。八王子をはじめとした、多摩地域の新規就農者と連携し、中でも自然栽培や栽培時農薬・化学肥料不使用にこだわる生産者の野菜を販売することで生産者を応援しています。その他店内では八王子でとれた地卵、加工品、無添加のドライフルーツやナッツを販売しています。

まちの駅八王子 CHITOSEYAのパートナーである、東京の新規就農者の団体「東京NEO-FARMERS!」コーディネーターの三菅さんは、まちの駅八王子 CHITOSEYAの存在について「新規就農の駆け出しの若い農業者の想いの詰まった野菜を理解して販売してもらえる、新規就農者にとってとても大切な売り場であり、お客様と野菜が出会える場所だ」とお話しいただきました。
また、「東京NEO-FARMERS!」では、まちの駅八王子 CHITOSEYAへの野菜の配送を地域の障害者施設(就労継続支援A型事業所)にお願いしています。三菅さんからは、まちの駅八王子 CHITOSEYAで野菜を売ることで「農福連携を推進し、新しい価値や雇用をつくり、地域の野菜を地域で消費する可能性を共有することができ、人と人の手が無限につながっていくことを実感しています。」とお話しいただきました。

  • 東京NEO-FARMARS!のみなさんと取れたての野菜

生産者や生産方法、商品の説明をわかりやすく表示し、生産過程や商品の背景を知ることで、毎日の買い物が環境を守り、生産者を応援することにつながる。そんな繋がりを感じられるマルシェをまちの駅八王子 CHITOSEYAは目指しています。

支え合いのきっかけづくりをここから

まちの駅八王子CHITOSEYAは、ランチやカフェの場としてだけではなく、毎週親子ひろばや認知症カフェといったイベントの開催もしています。

「親子ひろば」イベントでは、マットを敷いて子どもが楽しく遊ぶことができるだけではなく、お母さん同士の交流もできます。講座やワークショップも開催しており、育児中のリフレッシュ時間として利用される方も多くいます。利用される方からは「大勢で遊ぶ広場も良いけど、小さくても素敵な空間で遊べる場所が家の近くにあって嬉しい」と親しまれています。

  • 親子ひろばの様子

また、「認知症カフェ」イベントでは、八王子市の地域包括センター職員が出向き、認知症を抱えるご家族の皆さんとお茶を飲みながら過ごせる場となっています。同センターの担当者の方からは、「地域に開かれたオープンなスペースで、お茶を飲みに来るような雰囲気で集まれる、まちの駅八王子 CHITOSEYAの空間はとても魅力的」とお話しいただきました。

  • 認知症カフェの様子

しかし、こうしたイベントも最初から人が集まったわけではありません。開始当初は認知度が低く、なかなか人が集まりませんでしたが、多摩信用金庫にイベントの周知に協力してもらい、今では毎回10人以上の方々が参加するイベントになりました。地域とのつながりが深い信用金庫からの情報発信だからこそ、イベントの集客に大きくつながりました。
このように福祉施設ではない場所を活用して支え合いのきっかけづくりを作り出すことも、まちの駅八王子 CHITOSEYAは目指しています。

これまでもこれからも千年続くまちの物語

まちの駅八王子 CHITOSEYAは、サステナブルで地域に末長く根ざす場所でありたいとの想いから名づけられ、ロゴマークには千羽鶴が使用されています。今後は、まちと人、人と人、事業者と生活者の「ターミナル」としての強みをいかし、多様な方々とSDGsの実現につながる「共創」に取り組んでいきたいとしています。

  • まちの駅八王子 CHITOSEYAのロゴマーク

私ども多摩信用金庫は、協同組織金融機関として、設立原点である「相互扶助の精神」のもと、お客さまが抱える悩みや課題の解決に取り組み、経営理念である「お客さまの幸せづくり」の実現を目指す金融機関です。
八王子中央支店1階の「まちの駅八王子CHITOSEYA」は、八王子市との「地域活性化に関する包括連携協定」と「まちなか交流・活動拠点運営事業に関する協定書」に基づき実施している事業です。運営事業者として、特定非営利活動法人ワーカーズコープ様にご協力いただき、八王子市の魅力を発信するだけでなく、子育て支援や多世代交流を行なっております。また、社会や環境に配慮した暮らし方についても地域住民の方や地域事業者の皆さんに伝え、ともに実践していくことで、より良い循環が地域に生まれることを期待しています。
暮らしや働き方、価値観が多様化する時代において、八王子市、ワーカーズコープ様、当金庫、3者それぞれの強みを活かし、協力・連解することで八王子市ならびに多摩地域の明るい未来を創造していきます。

多摩信用金庫 理事長 八木敏郎