労働者協同組合はんしんワーカーズコープ(令和5年4月設立)
はたらくをもっと楽しく、共創する地域を目指して
兵庫県尼崎市の南の端、阪神工業地帯の少し北にある阪神尼崎駅近くの商店街に、様々な事業を行う団体があります。設立は2014年。同じ職場で働いていた7人のメンバーで立ち上げ造園事業と訪問介護事業からスタートしました。
- 剪定作業の様子
立上げ当初「たのしくはたらき、おもしろい地域活動をしよう」と思って始めましたが、実際始めてみると自分たちの生活のため、営業をして仕事をもらって現場に出ての繰り返しで、はじめの1〜2年は仕事をすることで精一杯で地域活動に目を向けることはほとんどできませんでした。
これまでの活動の経緯
2015年から組合員や利用者と共に無農薬の米づくりを始めました。2016年8月、地域の食堂が始まりました。高齢者や子育て中のお母さんなど、誰でも来られる地域の居場所として、月1回行っています。2017年4月、空き店舗を改装し障がいのある子達の児童デイサービスがスタートしました。そして、同年7月、別の空き店舗でコミュニティスペースがスタートしました。コミュニティスペースには、レンタルスペース、フリースペース・講座など、地域の人たちがやりたいことを持ち込むことができます。
多様な⼈による商店街の活性化
商店の人達と関係ができていく中で商店街活性化の取り組みに巻き込まれていきました。私たちや商店の方だけでなく近隣の学校の先生や生徒、大学生、市役所の職員、NPO職員など多様な人が一人の市民として参加し、毎月会議をし、商店街を盛り上げたい、もう一度賑わっていた頃を取り戻したい、そんな想いがある人が集まっています。これまでに、ハロウインやチャレンジショップ、アート展、頭にピンポン玉を乗せて自転車を押して歩く「押しチャリンピック」なんてこともしてきました。とにかく初めは楽しんで、面白がって、理屈はあとからくっつけてという感じでやっています。
- 三和本通商店街で行った「押しチャリンピック」の様子
その中で「刀トング」という面白い活動も生まれました。刀に見立てた掃除用のゴミばさみ刀トングを、学校や行政、地域のイベントなど、様々な場所でワークショップを展開してみんなで作成しました。そして刀トングで掃除をする人たちを「護美奉行(ごみぶぎょう)」と呼び、まちをきれいにするために清掃活動をしました。これまで900人もの護美奉行が誕生しているとのことです。
- 刀トングによる護美奉行(ゴミ拾い)の様子
活動に当たり大事にしていること(意見反映の方法等)
はたらく人が主人公になるチームを目指して
運営は苦労の連続です。現在は、4つの事業所で異なる事業を展開しています。働くメンバーも、7人から30人に増えました。最初の頃は、給料も少なく生活も大変でした。思い返すとしんどかったけど、人数も少なく意思疎通はとりやすく話し合いもシンプルでした。今は、創業当初の人数が少ない時に比べ、話し合うことや意思決定に工夫が必要になってきました。 その際、労協法でも定められている「意見反映」が特に重要になります。法律の成立と施行のタイミングで、もう一度みんなでこれからの方向性や組織の価値観を共有することが大切だと思いクレド作りをはじめました。「クレド」とは、組織のメンバー全員でチームのミッションやビジョン、行動指針を決める取り組みです。この取組を通じてメンバー一人ひとりが何のために、どんな風に働きたいのかを納得感を持ってこの先も進んでいくために、対話を重ねていく予定です。
- 組合員会議の様子
早速、ワークショップをしたのですが、色んな意見が出てみんなそれぞれ感じ方・目指したい方向が違って面白かったのですが、同時にこんな調子で行動指針までたどり着けるのだろうか… パンドラの箱を開けてしまったようで恐くなり身が引き締まりました。
「生きがい・はたらく」場を創りだす、高齢者生きがい就労事業
2022年4月には兵庫県尼崎市「高齢者生きがい就労事業」を受託しました。これは1982年から尼崎老人福祉工場として展開されていたものをリニューアルし「生きがい就労の提供/マッチング」や生涯学習、多世代交流など高齢者に特定しない新しい地域づくりの場として運営しています。事業転換後は利用者も増え、参加者の自主的な意見や検討、話し合いが活性化しました。これからは工場だけでなく、地域の中で支えあう仕組みとして「生きがい・はたらく」場を作り出し、住民自治を可能にする行政と民間の協働をめざしています。
- 高齢者の生きがい就労事業
正解がなんなのかわからない、きっとゴールもなくずーっと探求し続ける、新しいような古いようなこの働き方に、本来労働が持つ価値が詰まっているはずなので、みんなで探していきたいと思います。
基本情報
法人名 労働者協同組合はんしんワーカーズコープ
事業所の所在地 兵庫県尼崎市建家町82番地
設立 2014年4⽉1日
(2014年4月1日企業組合法人格を取得、2023年4月1日労働者協同組合に組織変更)
事業内容 介護事業、障害児⽀援事業、就労⽀援事業、⾼齢者⽣きがい就労事業、⽣活総合⽀援事業、社会連帯(商店街活性化、地域食堂など)
組合員数 25名
組合員の年代別構成 20代〜70代
組合員以外の就労者 5名
売上高 約1億円(2022年度)
出資1口の金額 1万円 出資の総口数 505口
(令和5年4月13日現在)