増資や未払込出資を払込むことが決まっているときに、賃金の一部を控除して支払うことは可能でしょうか。

増資や未払込出資を払込むことが決まっているときに、賃金の一部を控除して支払うことは可能でしょうか。

増資や未払込出資を払込むことが決まっているときに、賃金の一部を控除する場合には、労使協定を締結したうえで行うようにしてください。
労働基準法第24条により、賃金は全額払いが原則とされています。
ただし、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができます。
この控除は、購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費等、事理明白なものについてのみ認められています。
協定書の様式は任意ですが、少なくとも、①控除の対象となる具体的な項目、②右の各項目別に定める控除を行う賃金支払日を記載することが考えられます。
なお、労働基準法上は控除される金額が賃金の一部である限り控除額の限度はございませんが、私法上は民法第510条及び民事執行法第512条の規定により、一賃金支払期の賃金又は退職金の額の4分の3に相当する部分(退職手当を除く賃金にあっては、その額が民事執行法施行令で定める額(支払期が毎月と定められている場合は33万円等)を超えるときは、その額)については、使用者側から一方的に相殺することはできないとされている点に留意してください。

労働基準法第24条